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合同会社(LLC)の解散・清算手続きをわかりやすく解説!

合同会社の解散・清算手続きについて

合同会社を設立したものの、後継者がいない、事業が立ち行かないので廃業したいなど何らかの理由で会社をたたみたいというご相談が多くあります。

会社をたたむこと、廃業することを法律上は「解散」といいます。

では、どのようにして合同会社を解散するのでしょうか?

ここでは合同会社の解散・清算手続きについて、一般の方でもその全容をご理解いただけるように、わかりやすく噛み砕いて解説していきます。

本ページの最後に「解散・清算手続きをご検討中の方」へ向けたサービスのご案内もございますので、こちらもぜひご参考ください。

合同会社の解散事由について

合同会社の解散事由について

実は合同会社が解散する事由は決まっていて、下記に該当する場合に解散することになるのです。

合同会社の解散事由

  • 総社員の同意
  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散事由の発生
  • 社員が欠けたこと
  • 合併
  • 破産手続開始の決定
  • 解散を命ずる裁判

この中で最も多い解散事由は「総社員の同意」です。

合同会社は社員一人以上で設立しますが、解散するには社員全員の同意が必要であり、同意があればいつでも解散できます。

今後営業することが一切なくなった、後継者不在で会社がなりたたないなど、理由のいかんを問わず、社員全員が解散に同意していれば会社をたたむことができます。

一人で合同会社を立ち上げたのであれば何も問題ありませんが、複数名で立ち上げたのであれば、社員全員の同意がなければ、解散はできませんので注意してください。

また、あまり知られていませんが、合同会社では定款において「存続期間」や「解散事由」を定めておくことができます。定款で定めた存続期間が満了したり、解散事由が発生したりすると会社は解散することになります。

破産とは違うの?

よく似た言葉に「破産」があります。

破産は、会社が債務超過になって事業を継続していくことができなくなることをいいます。いわゆる倒産です。

もし会社の資産を全て処分しても債務(借入金・買掛金等)が残って返済できない状況の場合は、解散はできず、裁判所に対して破産の申立手続きを行うことになります。

すぐに解散できるの?

総社員の同意さえあればすぐにでも解散はできますが、会社を完全に消滅されるには一定の期間を要します。清算手続きが終了するまで、法律に則った厳格な手続きが求められます。

総社員の同意があった日が合同会社の「解散日」です。

解散すると会社の事業はストップしますので、解散日以降は売上をあげたり、新たに取引をするような営業活動を行うことはできません。

解散日以降は、会社が持っている債権や債務を処分・整理する清算手続きを行うためだけに会社は存続します。従って、解散しただけでは会社が消滅するわけではないのです。

解散した後の会社の清算手続きを「清算事務」といい、清算事務行う人を「清算人」と言います。

清算人が行うことは?

合同会社が解散すると代表社員と業務執行社員は自動的に退任します。退任した社員に代わって清算人が会社の残務を終了させる手続きを行っていきます。

通常は元代表社員が清算人に就任します。

清算人は就任後すぐに会社の財産状況を調べます。そして、財産目録及び貸借対照表を作成し社員に通知します。また、社員からの請求があれば、毎月の清算状況を報告しなければなりません。

そして、会社の未回収の債権があれば回収し、未払いの債務があれば弁済するなどの会社の財産整理をする清算事務を行っていきます。

この清算事務を終えなければ、例え会社が解散したとしても登記上は会社が存続していることになります。

清算人の職務とは?

清算人の職務は以下の3つです。

  1. 現務の結了
  2. 債権の取立て及び債務の弁済
  3. 残余財産の分配

1.現務の結了

合同会社が解散した時にまだ完了していない業務を終了させます。

例えば、すでに売買契約済みであった商品を納品したり、棚卸し資産を売却したりすることです。やりかけの業務を完結させることだと思ってください。

2.債権の取立て及び債務の弁済

合同会社が解散した時に会社がもっている債権(売掛金等)があれば、債務者(取引先等)から回収します。

会社がもっている債務(買掛金等)があれば、債権者(取引先等)へ弁済をします。

ただし、債権者へすぐに弁済することはできず、債権者保護手続き(債権者への公告と個別の催告)期間を経てから弁済を行います。

3.残余財産の分配

債務を弁済した後に残余財産が残っている場合は、社員へ残余財産を分配します。

合同会社の解散に伴う債権者保護手続きについて

合同会社の解散に伴う債権者保護手続きについて

清算人の職務の一つに「債務の弁済」があります。

合同会社が解散した時に、会社がもっている債務(借入金・買掛金等)を債権者へ弁済しなければなりません。

このため清算人は解散後、会社の債権者に対して債権を申し出るように通知する必要があります。

これを「債権者保護手続き」といいます。

債権者保護手続きは次の2つの手続きを行います。

  1. 官報へ解散公告の掲載
  2. 債権者へ個別の催告

1.官報へ解散公告の掲載

官報とは国が発行している新聞みたいなものです。この官報に「合同会社会社が解散したので債権者は申し出てください」と掲載することで広く債権者へお知らせするのです。

この官報への公告は法定されていますので、省略することはできません。そして、2ヶ月以上の掲載期間を要します。

<解散公告の記載例>

解散公告

当社は、平成●●年●●月●●日総社員の同意により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から二箇月以内にお申し出下さい。
なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。

兵庫県神戸市東灘区向洋町中六丁目9番地
合同会社モヨリック
清算人 神戸 太郎

もし公告期間内に債権者から申し出がなかった(異議がなかった)ときは清算から除斥されますので、債権者の持っている権利は消滅します(知れたる債権者は除きます)。

2.債権者へ個別の催告

会社が把握している債権者に対しては、①の公告とは別に個別に催告を行います。

催告の方法は特に指定はありませんが、通常は書面で通知します。内容は解散公告とほぼ同じ内容になります。

解散公告と債権者へ催告を行ってから2ヶ月経過すると債権者保護手続きは終了します。

尚、債権者保護手続き中は個別に債権者へ弁済することはできず、債権者保護手続き終了後、弁済をすることになります。

解散・清算手続きの流れ・フロー

解散・清算手続きの流れ・フロー

合同会社の解散・清算手続きの流れは以下のとおりです。

合同会社の解散・清算手続きの流れ

  1. 総社員の同意による解散と清算人の選任
  2. 解散及び清算人就任登記申請(解散の日から2週間以内)
  3. 財産目録等の作成及び社員へ通知
  4. 債権者保護手続き
  5. 解散の届出・申告
  6. 債権の取立て及び債務の弁済
  7. 残余財産の分配
  8. 計算書類の承認
  9. 清算結了登記申請(清算の日から2週間以内)
  10. 清算結了の届出・申告

それでは、各手続きについてご説明していきます。

(1)総社員の同意による解散と清算人の選任

合同会社の社員全員が解散することに同意をして、清算人を決定します。

(2)解散及び清算人就任登記申請(解散の日から2週間以内)

管轄の法務局へ「解散及び清算人選任登記申請」を行います。

(3)財産目録等の作成及び社員へ通知

清算人は就任後、会社の財産の現況を調査し、清算開始時における財産目録及び貸借対照表を作成し、各社員へ通知します。

(4)債権者保護手続き

清算人は合同会社解散後、債権者保護手続きを行います。

  1. 官報へ解散公告の掲載
  2. 債権者へ個別の催告

(5)解散の届出・申告

解散登記完了後、関係官庁へ解散の届出を行います。また、税務署等へ税務申告も行います。

主な解散届提出先

  • 税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市区町村役場
  • 社会保険事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク

(6)債権の取立て及び債務の弁済

債権があれば取立て、債務が残っていれば弁済を行います。会社名義の財産があれば処分や換金を行っていきます。

(7)残余財産の分配

債務の弁済が完了すると残余財産が確定します。残余財産が残っていれば社員へ分配し、会社の財産がゼロになれば清算事務終了です。

(8)計算書類の承認

清算人は清算事務が完了したら清算に掛かる計算をして、社員の承認を得ます。承認を得た後、原則2週間以内に法務局へ清算結了の登記申請を行います。

(9)清算結了登記申請(清算の日から2週間以内)

管轄の法務局へ「清算結了登記申請」を行います。

(10)清算結了の届出・申告

清算結了登記完了後、関係官庁へ清算結了の届出を行います。また、税務署等へ税務申告も行います。

届出書提出先

  • 税務署
  • 都道府県税事務所
  • 市区町村役場

債権者保護手続きである官報公告は2ヶ月以上の期間に渡って行う必要があります。従って、合同会社の解散・清算に要する期間は最低でも2ヶ月半~3ヶ月は掛かるということになります。

一般的に「解散」と呼ばれていることがイコール会社を消滅させることにはなりません。会社が営業活動を中止して残務及び財産整理を行い、清算結了を行うことによって始めて法人格が消滅するのです。

《関連》会社を解散する場合に必要となる17の手続き一覧(弊社別サイトにジャンプします)

解散・清算登記申請に必要となる書類

解散・清算登記申請に必要となる書類

解散の日から原則2週間以内に法務局へ解散の登記申請を行わなければなりません。

この解散登記と同時に清算人の就任登記も行います。

登記上はあくまでも解散登記と清算人の就任登記は別で取り扱われていますが、同時に申請することができます。

また、今まで代表社員が登録していた会社の印鑑(法人実印)は、解散後は代表社員がいなくなりますので、清算人が会社の印鑑として改めて登録しなければなりません。

通常は今まで使用してきた印鑑をそのまま使いますので作り直す必要はなく、解散登記申請時に同時に印鑑登録を行います。

この印鑑登録に必要な書類「印鑑届書」には清算人の印鑑証明書が必要ですので、事前に用意しておきましょう。

《関連》合同会社解散清算の必要書類をわかりやすく解説

(1)解散及び清算人選任登記に必要となる書類

合同会社の解散及び清算人選任登記に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類一覧

  • 合同会社解散及び清算人選任登記申請書
  • 総社員の同意書
  • 清算人の選任を証する書面
  • 清算人の就任承諾書
  • 印鑑届書
  • 清算人の印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
  • 委任状(代理人による申請の場合)

(2)清算結了登記に必要となる書類

合同会社の清算結了登記に必要となる書類は以下のとおりです。

必要書類一覧

  • 合同会社清算結了登記申請書
  • 清算結了承認書
  • 計算書類(添付書類)
  • 委任状(代理人による申請の場合)

<ワンポイントアドバイス>清算人は誰がなるの?

<ワンポイントアドバイス>清算人は誰がなるの?

清算人とは、会社が解散してから清算結了するまで責任を持ってその会社の清算事務を行う者です。

清算人になる資格はありませんので、誰でもなることができますが、通常は代表社員が清算人に就任します。代表社員が会社の内情を一番わかっているからです。

清算人選任登記を行うと、清算人として氏名と住所が登記されます。

清算人は清算事務を行いますが、税務署への申告は顧問税理士さんに依頼しましょう。

解散申告や清算申告は、通常の確定申告とは異なる処理が必要となる部分があります。やはり、税務申告にかかわることは専門家である税理士さんへ依頼するのがベストです。

合同会社(LLC)の解散・清算手続きの実費・法定費用

合同会社(LLC)の解散・清算手続きの実費・法定費用

登録免許税 解散及び清算人就任登記 39,000円
清算結了登記 2,000円
公告費用 * 約35,000円
合計金額 76,000円

* 解散公告費用(掲載料金)は、掲載する行数によって金額が異なります。
会社の本店住所や商号により行数が異なりますが、概ね35,000円から40,000円前後になります。

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