合同会社の資本金についての解説
合同会社の資本金について
資本金は、会社を設立した際の運転資金となるお金です。
会社が事業を行うために活用され、資本金が多ければそれだけ会社の資金繰りは楽になりますし、事業に使えるお金がたくさんある会社ということになります。
以前は、会社を設立するためには、資本金が株式会社であれば1,000万円以上、有限会社であれば300万円以上なければいけませんでした。
そのため、資本金というのものは、会社が最低確保しておかなければならないお金であって、使えないと思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
資本金とは、あくまで会社を設立して事業を始めるための元手であって、その会社が持っているお金の総額とは別のものです。
では、資本金はいくらであればいいのでしょうか?
現在は、合同会社も資本金の制限がありませんので、1円以上であれば、会社を設立することができますが、現実には1円の元手で事業をスタートすることはできません。
一般的には、「開業資金+6ヶ月分の運転資金」があればいいだろうと言われていますが、そのとおりですね。このくらいの資金があれば、結構余裕を持って会社経営に当たれるのではないでしょうか。
様々な業種業態がありますから、一概には言えませんが、資金に余裕があって設立するに越したことはありません。
信用面に関しては、資本金の額の多寡によって、信用をはかる会社もあるでしょうし、資本金よりも代表者個人の信用を大事にする会社もあるでしょうが、多ければ多いほど、信用される傾向にあるようです。
資本金をいくらにすればいいのかは、設立する個々の会社によって違ってきます。
例えば、介護事業者の指定を受けるにはまず法人を設立してから役所へ申請を行います。そして問題なく指定を受けたとしても、すぐに収入があるわけではありません。
介護事業者の売上の9割は2ヶ月遅れで介護保険から支払われますので、事業を開始してから約3ヶ月は自己資金(資本金)で賄うことになります。つまり最低3ヶ月分の自己資金があったほうがいいと言えます。あまり少ない資本金額であると、会社設立後すぐに赤字になります。
設立後すぐに売上が上がって黒字になるのが理想的ですが、なかなか予想できないものです。もし創業時の融資を検討されているのであれば、法人の場合通常は資本金=自己資金になりますので、資本金額が極端に少ない会社は不利になることもあります。
しっかりとした事業計画を立てて、融資を申請する金額に見合うだけの資本金にしたほうが良いでしょう。
その会社の事業に必要となる金額を見積もって、適正な資本金を決めましょう。
幣所にご依頼をいただいたお客様の資本金の額は、
株式会社:100万円~1000万円
合同会社:1万円~300万円
の範囲内が最も多く、ご覧の通り、合同会社の方が資本金額が低い傾向にあります。
合同会社は株式会社よりも小さく始める方に向いている面もあるのでしょうね。資本金の額がその表れでもあるのかなと思います。
なお、資本金は現物での出資も可能です。詳しくはこちらをご覧ください。→現物出資って?
資本金の額を決める場合は許認可にも注意!
会社の設立後に、許認可を必要とする事業(建設業・一般労働者派遣事業、等)をされる場合は、許認可の要件に資本金の額が入っている場合がありますので、事前に確認しておきましょう。
例えば、一般建設業の許可を受ける場合には「自己資本の額が500万円以上」あることが要件の一つとされていますので、設立する際に資本金を500万円以上に設定しておけば要件を一つクリアすることができます。
資本金を500万円以下で設定した場合は、建設業の許可を申請する際に預金残高で500万円以上の残高があることを証明したり、金融機関から500万円以上の融資が受けられることを証明しなければなりませんので、事前に許可を受けることが確実であれば、設立の際に資本金を500万円にしたほうが手間が省けます。
介護事業者の指定を受けるには、資本金の要件は設けられておりません。
しかし、今後新しくお客様と取引を開始したり、従業員を雇用するために求人を出すこともあると思いますので、資本金が少なすぎるのは信頼性の面からお勧めしません。求職者や施設を利用する人達が会社の資本金を見た場合に「この会社は大丈夫なのか?」という事を思われない金額にしておくことも大切です。
許認可の取得のために資本金が足りず、増資をしなければならなくなり、余計な手間と費用がかからないように注意してください。
登録免許税の額も資本金によって変わる
会社の設立登記時に支払う登録免許税は、この資本金の額に1000分の7を乗じた金額と決められていますので、資本金の額によって納める金額が異なります。
合同会社の場合、その額が6万円未満であれば6万円と決められています。
・資本金:800万円×0.007=56,000円 ⇒ 登録免許税は6万円
・資本金:850万円×0.007=59,500円 ⇒ 登録免許税は6万円
・資本金:900万円×0.007=63,000円 ⇒ 登録免許税は6万3000円
資本金と税金の関係について
会社が納めなければならない税金には色々と種類がありますが、その中でも資本金の額によって税金額が変わるものがあります。
(1)法人住民税(都道府県税・市区町村税)
地方税の一つである「法人住民税」は、地方公共団体(都道府県と市区町村)に納める税金です。
法人住民税には、法人の所得に関係なく赤字であっても定額で課税される「均等割」と法人税額に税率を乗じて算出される「法人割」があります。
「均等割」は利益に関係なく、資本金の額及び従業員数によって課税される仕組みです。
例えば東京都の場合では、資本金が1000万円以下であり従業員数が50人以下であれば一律7万円が課税されます。
資本金が1000万円を超えて1億円以下であり従業員数が50人以下であれば一気に18万円に増えます。
均等割は赤字であっても毎年払わなければならない税金ですので、資本金額によっては大きな負担となります。
節税を求めるのであれば資本金は1000万円を超えないようにしたほうが得です。
また、同じく東京都の「法人割」では、資本金が1億円以下であり法人税額1000万円以下の場合は税率が12.9%、いずれかの条件を超える場合は、超過税率として16.3%となります。
ただし法人割は前年度が赤字だった場合は課税されません。
(2)会社設立時の消費税
会社設立後1期目の消費税が免除されるためには、資本金1000万円以下で設立すれば自動的に免税事業者となります。
逆に資本金を1,000万円以上で設立した場合は、設立1期目、2期目ともに消費税の課税事業者となります。
以前は、資本金1000万円以下で設立すれば2期目も免除されていましたが、現在では2期目においても消費税が免除されるかどうかは、課税売上高(消費税抜きの売上)が1000万円を超えるかによります。
設立1期目の事業年度期首から6ヶ月(特定期間)の課税売上高が1000万円を超えると2期目から消費税が課税されるケースがあります。
このように資本金の額によって、納める税金に大きな違いが出てきます。
多くの合同会社では資本金は1000万円以下であることが多いですが、設立後に増資を行い資本金が1000万円を超える可能性があれば、税金に留意する必要があります。
まとめ
以上が合同会社と資本金の解説になります。いかがでしたでしょうか。
更に詳しく資本金について調べてみたいという方は、下記ページもぜひ参考にされてください。
内容は株式会社向けではありますが、会計上の資本金に対する考え方や、資本金の相場、資本金額の決め方については、株式会社と合同会社に違いはありません。
資本金額の業界別全国統計、弊社クライアント様の統計等も掲載しておりますので、資本金の額をいくらに設定するかを悩んでいる方には大いに参考にしていただけると思います(弊社別サイトにジャンプします)。
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