合同会社(LLC)設立件数の推移・統計
参考:法務省【登記統計 統計表】
早いもので会社法が施行されてから10年以上が経ちました。
「合同会社」という名前を耳にしたことがある方も増えてきていると思います。
では実際に、会社法が施行されてから、どの程度の数の合同会社が設立されきたのか、知りたい方も多いと思いますので、法務局統計をまとめてみました。
合同会社の設立推移(年度別)は次のとおりです。
<合同会社の年度別設立数の推移>
年度 | 設立数 |
---|---|
平成18年度 | 3,392 |
平成19年度 | 6,076 |
平成20年度 | 5,413 |
平成21年度 | 5,771 |
平成22年度 | 7,153 |
平成23年度 | 9,130 |
平成24年度 | 10,889 |
平成25年度 | 14,581 |
平成26年度 | 19,808 |
平成27年度 | 22,223 |
平成28年度 | 23,787 |
平成29年度 | 27,270 |
合同会社の設立数は右肩上がりで順調に伸びてきていますね。
直近の平成29年度では、年間2万7千件を超える合同会社が設立されています。同年度の株式会社設立数が約9万1千件ですから、合同会社と株式会社を対比しますと、おおよそ3社に1社の割合で合同会社が設立されていることになります。
営利・非営利を問わず法人設立手続きのサポートを専門としている我々からみても、意外な数字です。合同会社に魅力を感じている経営者、起業家は着実に増えつつあるということですね。
合同会社の設立には数多くのメリットがあり、会社法施行直後の数年前と比べ、認知度は格段に上がってきています。
合同会社はなぜ増え続けているのか?
合同会社は、株式会社と比べて圧倒的に設立費用が安く、更に、公証役場での定款認証が不要ですので、迅速な設立が可能です。
また、定款に記載できる内容の自由度も極めて高く、役員任期の定めもありません(株式会社は任期満了ごとに役員の重任登記が必要になります)。
よって合同会社設立後に定款変更や登記事項に変更が無い場合は、法務局での手続きも特段必要ではなくなります。
株式と比べて使い勝手が良いと判断され、合同会社を選ぶ方が増えているようです。
認知度においては、まだまだ株式会社に劣る面もあると思いますが、上の年度推移を見ても分かるように、今後も合同会社の数は増えていくことは間違いないでしょう。
許認可や節税目的の法人化なら安くて早い合同会社がおススメ?
介護事業のように、許可を受ける要件に「法人格の取得」を求められている場合は、設立コストが安い合同会社がおススメです。また、法人化の主な目的が節税の場合にも、合同会社は活用しやすいと言えます。これらの場合は株式会社である必要性に乏しいですから。
「法人各は必要だが、小さく事業を始めたい。設立時のコストを出来る限り抑えたい。」といった方には合同会社がお勧めです。
関連:徹底比較!一人株式会社と一人合同会社どっちがいい?(弊社別サイトに移動します)
ちなみに、令和1年度の月別設立数は次の通りです。株式と合同の設立数両者を掲載しています。株式会社と大差はありませんね。
<令和1年度 月別設立数 合同会社・株式会社>
令和1年度 | 合同会社(LLC) | 株式会社 |
---|---|---|
1月設立 | 2,558 | 7,231 |
2月設立 | 2,445 | 6,240 |
3月設立 | 2,488 | 6,867 |
4月設立 | 2,695 | 8,232 |
5月設立 | 2,498 | 7,769 |
6月設立 | 2,487 | 7,390 |
7月設立 | 2,930 | 8,217 |
かなり肉薄してきています。
現在、有限会社は新たに設立できなくなっていますから、その後釜としての役割を担ってきた合同会社は、株式会社と並んで日本の営利企業を支えていく存在になりました。
どんな業種の合同会社が今増えているのか?
弊社に設立の依頼を頂いた合同会社さんで、多くを占める業種は、介護、建設、不動産投資業、IT関連事業などです。
やはり、許認可に法人格が必要な業種であったり、建設業で言えば、元請けさんや取引先から法人格を求められて合同会社を設立した。というケースが多いです。不動産投資やFX投資などは、節税目的の法人化が多いですね。
- 介護事業(許認可要件に法人格が必要なため)
- 不動産投資会社(節税メリットを享受するため)
- FX運営会社(節税メリットを享受するため)
- 建設業
- ITビジネス関係
- コンサルタント関係
IT関係やコンサルタント関係など、属人的(社長やエンジニア個人の信用によるところが多い)なビジネスの場合も合同会社には向いているかもしれません。
その他にも不動産投資家で、法人設立による節税の恩恵を受けてらっしゃる方もいます。
合同会社設立の目的は人それぞれ様々ではありますが、確実にその裾野は広がってきていると言えます。
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