合同会社と株式会社。不動産投資家にとってはどちらが最適なの?
節税目的の不動産投資業の「法人化」。
当ページでは、不動産投資家のあなたの為に、営利法人の代表格である「合同会社」と「株式会社」、どちらの法人が不動産投資には最適かを両者の比較を交えて解説しています。
合同会社・株式会社、いずれの法人を選択するにしても、多かれ少なかれ設立に掛かる費用・手間がかかります。
安易に決めることはできません。
それぞれのメリット・デメリットをきちんと見極めた上で法人化をしたいところです。
では、見てまいりましょう。
そもそも合同会社とは?
合同会社とは、会社法という法律が施行されて新たに生まれた法人格です。
まだ耳慣れない方もいらっしゃるとは思いますが、既に、合同会社が誕生して10年になります。
合同会社の設立数は、最もメジャーな株式会社の次点、2番目に位置しています。
株式会社と比べて「認知度」では劣るものの、確実にその数は増えています。
(具体的な数字をお知りになりたい方は、当サイト内のこちらのページをご覧ください。→合同会社の年間設立数(全国))
なお、合同会社と似た法人に、合資会社・合名会社というものがありますが、不動産投資をされるあなたにとっては、これらの法人を選択するメリットはありません。
合資・合名会社は無限責任社員(会社の責任を個人であるあなたも負うことになる)で構成されているので、不動産投資をされる方は特にオススメできません。
一方の合同会社は、有限責任社員(会社の責任を個人であるあなたは負わない)のみで構成されています。
ですから、ここでは合資会社・合名会社は除外して話を進めます。
有限会社も今は新たな設立はできなくなっていますので、不動産投資家であるあなたが法人化を検討する際に、最終的に絞られてくるのは、合同会社か株式会社の2つになります。
株式会社との違い
1.税金面の違いは?
合同会社・株式会社共に、普通法人に分類されますので、税制上の違いはほぼありません。後述する登録免許税等に違いがあるだけです。
2.責任は?
合同会社・株式会社ともに、有限責任です。有限責任とは、会社債権者等に対して出資金の限度額の範囲内でしか責任を負わないことを言います。
3.設立費用は?
合同会社が、定款印紙代4万円+登録免許税6万円の計10万円。
株式会社が、定款印紙代4万円+定款認証手数料約52,000円+登録免許税15万円の計約24万円。
最大で14万円もの違いが出ます。14万円は非常に大きいですね。
なお、共通事項として、定款を電子化して電子定款とすることで、上記印紙代4万円は非課税となります。
4.ランニングコストは?
合同会社には役員に任期がありません。また、決算公告義務もありません。
会社の登記事項に何も変更がなければ、法務局での変更登記は必要ありませんので、基本的にはランニングコストはかかりません。
一方の株式会社は、役員に任期がありますので、改選ごとに法務局での役員変更登記が必要になります。
また、毎期終了後の決算公告義務があります。
決算公告は、日刊新聞、官報、電子公告の方法のいずれかから選択します。日刊新聞紙への決算公告は膨大な費用がかかりますので、官報若しくは電子公告になると思います。
役員変更登記には登録免許税が1万円かかります。
合同会社・株式会社に共通するランニングコストは、税理士への顧問料や決算申告代行料等です。
日々の会計記帳、節税対策、税務申告など全てを自分で行うことも不可能ではないでしょうが、それではあまり法人化する意味がありません。
法人化による節税メリットを最大限活かすには、不動産投資に精通した税理士の活用は欠かせません。
また、法人化によって税務調査が入りやすくなりますので、法人化後は、税理士を顧問(若しくは決算申告のみのスポットでもいいかもしれませんが)に付けることは、マストになるかと思います。
5.設立にかかる期間は?
株式会社は定款認証(定款に法的な不備・問題はないかの公証人による確認作業)が必要なのに対して合同会社は不要です。
その分、合同会社の方が設立期間が短くなります。その他の手続き、書類の作成や資本金の払込み作業等に関しては、大きな違いはありません。
全て滞りなく手続きが進むことを前提として、株式会社では、3日~10日、合同会社では、1日~10日での設立が可能です。
株式会社はどうしても公証人のスケジュールなども関係してきますから、1日での設立も無理ではありませんが、確実ではありません。
6.利益の配分方法は?
合同会社は、出資額に関わらず自由な利益配当が可能です。一方の株式会社は、原則として、出資額と利益配当の割合を変えることはできません。
7.認知度は?
前述のとおり、まだまだ株式会社のほうが認知度は高いです。ただ、不動産投資と節税のみを目的とした法人化ですから、信用度・認知度との相関関係はさほどではないでしょう。
まとめ
以上、いかがでしょうか。
節税のみを目的とするならば、設立・運営コストも低く、利益配分にも融通が効いて、更にはスピーディーな設立が可能な合同会社が最適です。
そうは言っても、「将来は組織を大きくしていくかもしれないし、認知度の高い株式会社も考えてはいるんだけどな・・・」という方も、ご安心ください。
合同会社と株式会社は全く別の法人格ではありますが、実は、株式会社への組織変更も可能なのです。小さく初めて、将来的には大きくしていく。と、お考えの方にも、合同会社は使い勝手の良い法人格と言えます。
以上、参考になれば幸いです。
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