パターン別でわかりやすく解説!合同会社の代表社員の変更手続きについて
合同会社では全ての社員に代表権がありますので、原則は社員全員が代表社員となります。
しかしながら、社員全員を代表社員とすることはあまりなく、特定の社員1人を代表社員として定めているのが一般的です。
特定の社員だけを代表社員とするには、定款に代表社員の定め方を設けていますので、どのように代表社員を選定するかは、定款を確認してください。
代表社員を変更するには、この定款に定められた方法で手続きを行うことになります。
代表社員の定め方、選任機関は?
代表社員の定め方は、「定款に直接代表社員の氏名を記載している」、若しくは「社員(業務執行社員)の互選で決める」と定めているかのどちらかがほどんとです(定款に代表社員の定めがない場合は、社員全員が代表社員です)。
<定款:代表社員の選定方法記載例>
- 当会社の代表社員は、神戸 太郎とする。
- 当会社の代表社員は、社員の互選によって定める。
- 当会社の代表社員は、業務執行社員の互選によって定める。
- 当会社の代表社員は、業務執行社員の互選によって定める。
「定款に直接代表社員の氏名を記載している」→新しい代表社員の氏名を定款に記載すること(定款を変更すること)について、原則総社員の同意が必要ですので、総社員の同意を得たことの「同意書」を作成します。
「社員(業務執行社員)の互選で決める」→社員(業務執行社員)の互選で新しい代表社員を選定することになりますので、代表社員を選定したことの「互選書」を作成します。
代表社員を変更するには色々なパターンがありますが、主に下記3パターンの変更が多いです。
パターン1.代表社員の地位のみ変わる場合
代表社員Aが代表社員を退任して、既存の業務執行社員Bが代表社員になる場合。
- 社員A及びB
- 代表社員A → 代表社員退任(業務執行社員のまま)
- 業務執行社員B → 代表社員就任(業務執行社員兼代表社員)
この場合は、「代表社員の変更手続き」が必要です。
パターン2.代表社員が退社して、既存の業務執行社員が代表社員に就任する場合
代表社員Aが退社して、業務執行社員Bが代表社員になる場合(一人の会社になる)。
- 社員A及びB→ 社員B
- 代表社員A → 退社(会社を辞める)
- 業務執行社員B → 代表社員就任(業務執行社員兼代表社員)
この場合は、「社員の退社手続き」と「代表社員の変更手続き」が必要です。
パターン3.代表社員が退社して、新しく業務執行社員が加入して代表社員に就任する場合
代表社員Aが退社して、新しく加入したCが代表社員になる場合。
- 社員A→ 社員C加入
- 代表社員A → 退社(会社を辞める)
- 加入社員C → 業務執行社員及び代表社員就任
この場合は、「社員の退社手続き」「社員の加入手続き」と「代表社員の変更手続き」が必要です。
退社に伴う持分の払い戻しについて
合同会社の社員は、会社に出資をしています。ですので、合同会社を退社する場合にはその出資した額(持分)の払い戻しを受けることができます。
退社する場合に持分の払い戻しをするかによって手続き方法が異なってきます。
◇パターン1.代表社員が持っている持分を他の社員へ譲渡して退社する場合
<退社前>
- 社員A及びB
- 代表社員A:持分60万円
- 業務執行社員B:持分40万円
- 資本金:100万円
→代表社員Aの持分60万円を業務執行社員Bに譲渡して退社する場合。
<退社後>
- 社員B
- 業務執行社員及び代表社員B:持分100万円
- 資本金:100万円
持分を他の社員へ譲渡するので資本金額は変わりません。この場合は、「社員の退社手続き」と「代表社員の変更手続き」が必要です。
◇パターン2.代表社員が持っている持分の払い戻しを受けて退社する場合
<退社前>
- 社員A及びB
- 代表社員A:持分60万円
- 業務執行社員B:持分40万円
- 資本金100万円
→代表社員Aの持分60万円を払い戻して退社する。
<退社後>
- 社員B
- 業務執行社員及び代表社員B:持分40万円
- 資本金:40万円
持分の払い戻しによって資本金額が60万円減少し、40万円になります。
この場合は、「社員の退社手続き」と「代表社員の変更手続き」とは別に「資本金額の変更手続き」が必要になります。
※払戻額が資本剰余金額内でおさまり、資本金額が減少しない場合は「資本金額の変更手続き」は不要です。
注意点は、持分の払い戻しは会社の財産状況に従って行われるということです。具体的には、退社する時点の会社の自己資本の額のうち、退社する社員の出資割合に応じた金額を払い戻します。
自己資本(純資産)の額によりますので、剰余金額を超えない範囲で払い戻しが行われるのであれば問題ありませんが、剰余金額を超えて純資産額以下で払い戻しをする場合は、債権者保護手続き(1ヶ月以上の公告+債権者へ個別の催告)が必要です。
尚、持分の払い戻しをする時点で債務超過(純資産がマイナス)である場合は、払い戻しはできません。
このように資本金額が減少すると手続きに要する期間も費用も掛かり、煩雑な手続きが必要になりますので、一般的にはパターン1の持分譲渡による退社の手続きがよく行われます。
代表社員変更の必要書類(例)
社員A・B・C3名の会社で、代表社員であるAが業務執行社員B、Cに持分全部を譲渡して退社、業務執行社員Bが代表社員に就任する場合(代表社員は業務執行社員の互選で定める定款の規定がある)。
- 合同会社変更登記申請書
- 総社員の同意書
- 退社の事実を証する書面
- 業務執行社員の互選書
- 代表社員の就任承諾書
- 定款
- 別紙(登記すべき事項)
- 印鑑届書
- 新代表社員の印鑑証明書
必要となる登録免許税
<社員変更>
- 資本金の額が1億円以下の場合:10,000円
- 資本金の額が1億円を超える場合:30,000円
<増資(資本金額の変更が伴う)の場合>
- 30,000円
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